英語教育の専門書コーナーに並べられている本ですので、
たいして英語教育に関心がない人が読んだところで興味をもてるのかと聞かれたら、
ちょっと自信がありません;^^
本書のテーマは、タイトルの通りですが、
「学校英語教育は何のため?」
です。
かなり誤解をされながら伝わり続けていることですが、
高等学校新学習指導要領(2008)で書かれた、
「英語の授業は英語で行うことを基本とする」
というアレですね。
現在でもかなり賛否両論だし、
現場では、今でも先生方はワタワタしている状況のようです。
僕の知っている限りでは、
かなりこの学習指導要領に従って、英語でインストラクションをしたり、
生徒に授業の中で積極的に英語を話す機会を設けたりするようになった学校がある一方で、
新指導要領が出たところで全く気にも留めないように、
以前と同様の授業が続いているところもあるようです。
昨今の自己啓発本だったり、一般向けの英語・英会話の書籍によくある、
「学校の授業は役に立たない」
「ひたすら日本語訳をするのは愚の骨頂」
的な感じの主張ではなく、
むしろ、「翻訳文化」が日本にもたらした強い(ポジティブな)影響や、
オーラルに偏ってしまうことのまずさを歴史的な観点から考えてみたりと、
今までの、オーラル・コミュニケーションのための英語、ビジネスシーンで役に立つようなスピーキング能力ではなく、今まで長年否定され続けてきた「翻訳」が持っている強みから、改めて、”学校”英語教育の目標と目的を考えることができる本でした。